鹿月秋の晴耕雨読

鹿月秋(from-origin design)の、他愛もない、そして、くだらない日常を無駄な長文で綴っています。
鹿月秋の晴耕雨読

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今宵、CAに抱かれて眠る。【カセットテープ篇】
午前4時、玄関の戸を開け、明かりを点けようと
スイッチに手を伸ばした。

なのに、玄関は、相変わらず、闇のままだ。

「あ、またやっちゃったな、こりゃ」
と思って、入っているはずの告知文書を求めて
郵便受けを開いたが、そこには何も入っていなかった。

「とうとう奴らも、告知なしに強行手段を取ったのか」
なんてブツブツ言いながらケータイの明かりで部屋に
入ってゆくと、電子レンジのディスプレイが生きていた。

電気の寵児とも言える電子レンジに電気が通っているという
ことは、どうやら、玄関の電球が切れただけらしいことが
分かった。

そう言えば、このところ、やたらとパワーダウンしてたな。


1つの問題が解決したのと同時に、次の課題が現れるのが
世の常。

ほとんど電子レンジを使わない僕は、普段、レンジのコンセントを
抜いていて、使う時にだけ、コンセントを差すようにしている。

ということは、僕は、昨夜、電子レンジを使ったようだ。
きっと使ったのだろう。

足下には、それらしき残骸が落ちていた。


ガチャリと「巻き戻し」のボタンを押して、時間を
遡ってみる。


ランチを食べにゆくには、少し遅すぎる時間に目を覚まし、
洗濯をしてから、ワインの試飲会へと向かった。

そこで心行くまでワインを飲み続け、閉会の時間が近づいてきたし、
さすがに、何か食べようと、木屋町に向かった。

すっかり陽も暮れていて、こんな時は、おでんが良いなと思う。

大衆食堂で、おでん4品と、熱燗。
やはり冬は、おでんだと思う、おでんが旨い。


人から紹介してもらった祇園のバーにでも行ってみようかと
鴨川を渡ると、祇園には時間が早すぎたらしく、まだ開店
していなかった。

1杯だけ、のつもりでいたのに、飲めないのは、ひどく
悲しいもので、烏丸近くにあるスペインバルで、仕切り直し。


約束の23時には、まだ時間があるので、一度、帰宅して、
約束の時間よりも、少し早めに家を出て、祇園に再チャレンジ
という予定は、いつのまにか訪れた睡魔によって遠ざけられて
しまった。

目を覚ました2分後に電話が鳴って、「今から行くぞ」

ボージョレーの解禁まで残り1時間、その前に、近くのバーで
ちょっとウォーム・アップ。

そこからボージョレー飲み放題のイベント会場に移って、
グビグビと遠慮なく飲み、時刻は1時半を回って、現地解散。


「よし、今度こそは、チャレンジ、チャレンジ」と
改めて祇園のバーへ。


というところまでは記憶は確か。

最初にビールを頼んで、次に、またボージョレーを
飲んだ、はず。


ガチャリ、テープストップ。

僕の記憶は、ここで途切れて、気がつくと、朝だった。


ちゃんと着替えて眠っていたのだけれども、エアコンは
ついたままで、音楽も流したままだった。


どこからが現実で、どこからか夢なのか、うまく判別できないけど、
祇園をあとにしてから、木屋町で飲んだような気がする、その上、
2つ右隣のお客さんに、執拗にからんだような気もするけど、
そもそも木屋町で飲んでいないかもしれない。


スピーカーからチャゲ&飛鳥が流れている。

たしかに、11月に入ってから、やけにチャゲ&飛鳥の曲が
頭の中でグルングルンしてはいたのだけれども、僕は彼らの
CDを持ってはおらず、カセットテープしかないのだ。

この酩酊の中で、僕は彼らのカセットテープを見つけ出し、
もはや、まともに動くかどうかさえ不安なカセットデッキを
作動させたらしい。

しかもコンビニで買った塩焼きそばを食べながら。


そして僕はキャビン・アテンダントではなく
チャゲ&飛鳥の歌に包まれながら、眠りについた、らしい。




オートリバースみたいに、僕はまた、こうやって、何度も
何度も同じ過ちを繰り返すのだろうな、たぶん、きっと、
残念だけれども、恐らく、間違いなく。





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レモン色の世界
レモン色の世界で、僕も彼らにならって、
両目をつぶってみる。

こめかみを、汗が走ってゆくのが分かる。


仕事終わりの午後2時前。

丸太町通にあるイタリアンで、朝食とも、ランチとも
言えない食事を摂る。

ワインは、何にしようか、ノヴェッロも良いかもな
と思いつつも、軽めの赤を。

前菜は、テリーヌとわかさぎのエスカベシェ、
モッツァレラ・ブーファラとトマトのジュレ。
パスタは、豚肉と山芋の白ワインソース。

白ワインソースのパスタを注文したのに、僕は
どうして、赤ワインを頼んだのか、よく分からない。

デザートは、ガトーショコラとハチミツのジェラート、
あとは何だっけ、忘れちゃったな。


気づくと、僕の左手の小指を止まり木にしていた
フクロウの指輪がなくなっていた。

森の賢者は、僕という森では、どうやら、その賢者ぶりを
発揮することができなかったようで、静かに飛び立って
いったらしい。


僕の左2つ隣の席では60代くらいの背筋をピンと伸ばして
座っている女性が、主菜のサワラのソテーにナイフを
入れていた。


店を出ると、外は、昨日までのそれとは違うポカポカな
陽気で、思わず、寄り道したくなる。

二条通にある知り合いの、そのまた知り合いのメガネ屋さんに
行くと、どうやら、今日は、定休日。

「良い店だよ」と聞いていたぶんだけ、どうしようもない
思いに駆られる。


このところ、仮眠を繰り返す日々だったので、
身体を伸ばしてあげようと、家の近くの銭湯に向かう
午後3時。

すでに、何人かの客が、背中を流していた。

僕も、その中に混じって、入念に身体をこすった。


ここの銭湯は、僕にとって、少し熱めの湯温に設定
されていて、その中でも、比較的、穏やかな湯温の
ハーブ湯に身体を沈めた。

今日の香りは、レモンだ。

その鮮やかな香りは、銭湯の外にも流れて出ていて、
だから、浴室の中はレモン・フレイヴァー満載なのだ。


レモン色の世界でブクブクしていると、もう一人の
客も、その世界に飛び込んできた。

直径1.5mの円形の湯船に、男2人。

しばらくすると、さらにもう一人の男。


「これも裸の付き合いでございます」
と、もう一人の僕が、へらへら笑いながら言う。

「うん、そうかもしれないね」
と僕は答える。


僕も盲いた彼らにならい、両目をつぶってみる。

こめかみを、汗が走ってゆくのが分かる。


汗の量が、果てしなくなってきて、僕は思わず
目を開けた。

すると、広い浴室の中には、誰もいなかった、
レモン色の世界の3人を除いては。


軽く汗を湯で流して、浴室から出た僕は真っ先に
体重計に乗った。

そして、電子体重計の、1/100の数字が表示されるよりも
早く飛び降りた。

別に、僕は正確な数字を知りたいわけぢゃない、
とくに、こういう場合は。

あるいは水泳部だったあの頃くらいの体重にまで
落ちているのではないか、という僕の予測は、大きく
外れていて、なんなら増えていた。

そんなはずはない、と鏡に裸体を映すと、受け入れがたい
お腹の膨らみを確認してしまった。

頭上のテレビでは、力士が土俵に入場するシーンが
映しだされていた。

大丈夫、さすがに、あれほどではない、
何に言い訳をしているのか分からないけど、
大丈夫、この1本ぐらいなんかでは、とビールを
喉に流しこんだ。


ヘッドフォンからワイヨリカが「さあいこう」と
歌っている。


さぁ、いこう、『夜の時間』です。


レモン色の世界の残像が、鼻孔の奥で、いまだ佇んでいる。



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迷ったときの、おまじない【神戸篇】
朝5時まで
リンゴ(南京町)

中華!
青葉(鯉川筋)
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