鹿月秋の晴耕雨読

鹿月秋(from-origin design)の、他愛もない、そして、くだらない日常を無駄な長文で綴っています。
鹿月秋の晴耕雨読

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手袋の季節が終わる頃
もう、なくても良いかもしれない、
という気づきが、突風よりも
大陸から運ばれてくる砂よりも
まわりの人たちのクシャミよりも
僕にとっては分かりやすい。


手袋がなくても自転車を乗れる
季節になったのだ、
春になったのだ。


だから僕は仕事帰りのコンビニで
ジョニーウォーカー赤ラベルの
ポケットボトルと映画「ブルースブラザーズ」の
DVDを買ってみたりするのだ。


紫色のVネックのセーターを着たりも
するだろう。

青色のカフスボタンを探してみたりも
するだろう。

淡いグレイのベストだって
探してみたりするだろう。


そうして梅田でのワインの試飲会のあとに
中崎町に向かった。

はずだった。

見覚えのある景色を辿っていった
先にあったのは「中崎町」ではなく
「豊崎町」だった。

おしい、
実に、おしい。

字面もさることながら、
二つの町は隣り合わせなのだ。

見慣れたはずの風景は、中崎町への
道しるべではなく幼なじみの
ヨーゼフ(仮名)の部屋への
道しるべだった。


中崎町に着いて、目当ての品を探してみたが
うまく見つからず、もう一つの目的だった
お客さんの服屋さんも
見つからなかった。

店の場所も名前も分からぬまま
見つけられると思っていたのに
僕の予想をはるかに越えるスピードで
中崎町は変化していた、
たくさんの店ができていた。

だからと言って僕が何一つ
見つけられなかったかというと
そんなこともなかった。

友達が主演する映画のチラシがあったのだ。

何だかそれは、とても特別なことに
思えたし、実際、とても特別なことだった。

残念なことと言えば、
僕がその映画を観れないことだ、
切ないくらいに残念なことだけれども。



お腹が空いたので四ツ橋へと向かった。

双子のお姉ちゃんに、何か食べさせてもらおう、
双子カフェに向かおう。


もし僕が「風の歌を聴け」(村上春樹著)を
映画化するのであれば
きっと彼女たちに出演してもらいと
半ば本気で思う。

「半ば」と「本気」が並列するのは
何だか矛盾しているようにも思うが
世の中は、たいていの場合
矛盾の蓄積の上に構築されているのだ。

きっと、そうだ。


ひじき炒飯とビール3杯飲む間に
「イラストしりとり」をし、
ファルファッレの指を作り、
彼女たちが写真のモデルをすることを知る。

彼女たちをモデルにしたがるのは
やはり僕だけではなかったのだと
納得し、それから先を越された悔しさを
抱いた。


それは阪急河原町から自宅までの
距離を歩かざるを得ないほどに
僕を叩きのめした。


手袋の季節は終わったと思っていたのに
そんな夜に限って、ひどく
冷え込む夜に戻っていたりするのだ。


「春はどこだ」と
木屋町のビルに挟まれた
狭い夜空に白い息を浮かべながら
僕は呟いた。




| 鹿月秋 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
すったもんだ、してますか?
どんな意味だったかな、忘れちゃったな


酔っぱらった男が、そこに三人いて、
彼が話す内容と言えば、
タバコの煙くらいの価値しかない。


でも、と僕は思う。

タバコの紫煙ほどの重さしかなくても
少なくとも僕たちにとっては
貴重で興味深い内容だったりするのだ。

多岐に渡り、収束もせず、
飛行機の胴体着陸する度胸もないまま
地球に降り立つのと、
さしては意味合いが変わらない。

夜中は、そうやって帰宅してるんだろうな、
きっと。


あるいは、冬の朝、玄関先に置いてあった赤い防水バケツの表面に張った氷くらいに薄いもの。



お尻にスイッチ
眠りのスイッチ


正確な場所は分からないから
僕はついつい、うっかり椅子に
腰を下ろすと、そのまま
眠りに落ちる、
それも案外、深いところへと。



ハイ・ロマンティック
ネオ・ロマンティック
それは彼のコードネームで
もう一つは僕のコードネーム。



見たことがあるな、と思いながら接客していて
声を聞いた時に間違いないな、と確信した。

およそ15年ぶりの再会。
とは言え、当時、僕たちの間に友人関係であるとか
そういった関係性はなく、
「同級生」なだけだった。

なのに僕が彼女の名前をすぐに思い出せたのか、
それは僕にも分からないし
「〇〇さんでしょ」
と言っても彼女は驚くばかりで、
僕のことを思い出せずにいた。

無理もないことだ。

僕はいたって、物静かな子供だったのだから。



体重計と体温計が部屋にある男とは
友達にはなれないし、
映画館でケータイの電源を落とさない
女の子には恋に落ちない、
それは漠然としたイメージなのだけれども
おそらく本当にそうなんだろうな
とも思う。



朝食には、これからは、コンビニの
菓子パンではなく、ビスケットにしよう
と思う。

「ビスケット」という音が、とにかく良い。


というのが、ここ最近
僕の頭を通過していった
言葉たちだった。



さぁ、あと少しで仕事も終わりだ。



それから。


青森のあの子の誕生日。


おめでとう。



| 鹿月秋 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
「踊りつづけて」と、たしかにジョンは言った
たとえば、である。

僕が密かにデートしようと思った
女の子は、僕の友達が働く会社の
他の支店の上役だったりする、
そんなことがあるのだ。



たとえば、である。

うっかり仕事着の白いシャツを忘れて、
バイトくん用の黒いシャツで
仕事しているとお客さんから
「そっちのほうがシックで良いね」と
言われたりする、
そんなことがあるのだ。



たとえば、である。

服屋さんで店員さんと話していると
村上春樹の「世界の終わりと
ハードボイルド・ワンダーランド」が
面白いね、という僕にとって
旬(最近、再読したところ)の
話題になったにも関わらず、途中で、
どうにも尿意が我慢できず、
「また来週来ますわ」と、
かなり強引に話を終わらせてしまう、
そんなことがあるのだ。



たとえば、である。

久しぶりによく晴れた春の朝の誘惑に負けて、
冬物のジャケットでなく春っぽいセーターで部屋を出て、
「あー気持ち良いものだなー」とか
呟いて自転車に乗ってみたりしたけど、
よく考えてみれば、帰宅時間は
午前の4時をすぎるわけで、
天気予報によれば明日の最低気温は
2℃ほどらしい、
そんなことがあるのだ。



たとえば、である。

事の大小はあるけれども、
実にいろんな(不注意だって、大事なスパイス)があるもので、
それでも、映画「ザ・クロッシング・ガード」の
ジョンがジョジョに言ったあのセリフみたいに
上手く踊りつづけようと思う、
ねーどうだい、
君も踊りつづけてみないかい、


よーすけ、あの頃みたいにさ、
なんてねー。


| 鹿月秋 | - | comments(0) | trackbacks(0) |